空の上から愛してる



「あたしは…あたしは…」




「…何?」



潤んでいく視界。
優くんの顔が歪んでいく。


チャンスが見えた。
今しかない気がした。


こんないいシチュエーションは他にない。

今…伝えなきゃいつがある?
明日いなくなるかもしれないから、今、伝える。



「あたし…まだね…優…くんが好きな…の」



途切れ途切れだけど伝わったかな?
風が強くなる。
窓の隙間から生暖かい風が吹いてきた。
揺れるポニーテール。
乾いていく涙。




「何言って…」



目を見開いて、あたしを見つめる優くん。

迷いたくない、こんな暗い世界とはさよならよ。


真っ直ぐ優くんを見て素直に気持ちを言う。



「本当に…ずっとずっと好きだった。別れた後もずっと…」



涙が落ちる。
抜け出していく、暗い世界から。




別れてもずっとあなたしかいなかった。
違う人を好きになるなんて出来なかった。




あなたの温もり、まだ覚えているよ…。




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