空の上から愛してる


「え…?何で?」




あの時の広瀬さんの顔が浮かぶ。
きっと彼女は泣いたはず。
あたしが泣かせたのと一緒よ。
あたしが…気持ちを伝えたから。



申し訳なさと驚きが埋め尽くす。
優くんを見つめて理由を求めた。



「答えが出たんだ…俺…百合に告白されて…揺れたんだ。俺はナナを守るって約束したから。ナナを守らなきゃいけなかった」




「うん…」



そうだよね。
彼氏は彼女を守らなきゃいけないよね。
彼女は彼氏を包まなきゃいけないよね。


あたしは、あなたを包みたい。




「だから百合のことは忘れようとした。もし…百合とまた付き合ったら…過去のことを思い出すんじゃないかって…」




「うん…」




やはりまだ優くんには信用されていないようだ。当たり前か。
あたしは嘘ばかりついてきた。



先輩のことが長い年月を経て、また思い出される。
あの屈辱な日々を。




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