空の上から愛してる
え、もしかして…。
期待が膨らんだ。
彼を見つめるあたし。
あたしより遥かに高い背。
またどくんと心臓が揺れた。
「男子は鈴木くんで、女子は小林さんね!」
もしかして…じゃない。
これは嘘じゃない。
学級委員の相手は、愛しいあなた。
赤く太い字の「当たり」が、この時「頑張れ」に見えたの…。
前に来て、と先生に言われたあたしたちは、前に出て拍手を受けた。
ねぇ、沙紀…。
沙紀はあたしたちを見てどう思った?
ヒーローとヒロインに見えたかな?
「席着いていいわよ」
どくん…どくん…と唸る心臓を抱えて、席へと向かう。
このままじゃ嫌だ。
こう思ったあたしは、あなたとの距離を、ゼロからイチにしたくて、勇気を出して言葉を発した。
「鈴木くん…」
あなたは話しかけても無視するかもしれない…。
けど、けど…。
「学級委員、よろしくね」
あなたとの距離を縮めたい。
「……うん」
これがあたしたちの初めての会話だった。