空の上から愛してる



「俺は弱虫でさ…前に進めなくてさ…でもよく考えたら、誰が俺に必要かわかったんだ」




優くんは弱虫なんかじゃないよ。
あたしの方が弱虫だよ。いつも泣いてばっかで、誰かに支えられなくちゃ前に進めなくて。


でもね、人間は一人では生きていけない寂しい生き物なの。



空に浮かぶ月と星。
月が神様の変わりに笑ってくれているようだった。
姿を見せることのできない神様は、三日月に感情を表したのだろう。




「もしこの先…つらいことがたくさん待ってても…俺は逃げずに頑張る…。でもそれには必要な人がいるんだ…」





「…………」




心臓が壊れそう。
スピードが加速する。
そのうち煙を吹いて、止まりそうだ。


今はやめて。
答えを聞くまでは…。




どくん、どくん…。




「俺すげぇ迷った。ナナか百合かって。すげぇ迷った。俺の隣にずっといてほしいと思ったのは…」







流れ星って誰かの願いが叶う頃に流れるんだって…。





夜空に流れていく、一筋の光。





「百合だとわかったんだ…」







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