空の上から愛してる
涙をジャージ拭くとジャージは水玉模様となる。
「鈴木…くん…」
「ねぇ…百合…鈴木くんなんてやめてよ…前みたいに…呼んで?」
ずっと呼びたかった…
もう一度呼びたかったの…。
これからは心の中で叫ばなくてもいいよね?
潤んだ瞳で優くんを見つめる。
絡まる視線。
「優くん…」
「良くできました」
優くんはそう言って、あたしを優しく抱き締めた。
割れ物を扱うような、大切に可愛がるような…そんな優しさで。
「百合…俺達…すごく遠回りしちゃったね?」
「…う…ん…」
「でもね。遠回りしなきゃ、俺は誰を好きか…誰を愛しているかわからなかったよ。俺はそのことに気付かせてくれた人に感謝しなくちゃいけない…」
囁かれる、変わらないボイス。
あたしたちの気持ちは二年前のときと何も変わらない、無邪気な気持ちだった。