空の上から愛してる
「これ…?」
手を広げるとそこに存在する二つのリング。
優くんはそれを一つ持ち、あたしの薬指にはめた。
あの頃と同じ。
やはり指輪はぶかぶかだ。
久しぶりの感触。
嬉しさが込み上げる。
「はい…これで、俺達は恋人だよ」
恋人…。
他人ではないよね。
「うん!優くんにもはめてあげるね」
「ありがとう」
あたしは指輪を持って、優くんの左手の薬指に指輪をはめようとした。
けれどなかなか指輪はスムーズに入っていかない。
「ん~…優くん太ったぁ?」
「あ?太ったかも!だってこれずっとはめてなかったじゃん?」
そんな太った感じしないけどなぁ…。
元々華奢な体だから分からないだけ?
でもまだ優くんの体は細すぎるよ。
「絶対はめるー!はまれー!!」
はまらなくちゃ話にならないよ。
恋人の証の意味がなくなってしまう。
必死に指輪と格闘する。そんなあたしの姿を見て、優くんは笑っていた。