空の上から愛してる
『百合?メール見た?今緑公園にいるんだ』
「先輩…あたし行けない。もう迷いたくない…」
自分に言い聞かせるように…。
『俺は百合を幸せにしたいんだよ』
お願い、迷わせないで。
「す…好きな人が出来たの。もうその人のことしか考えられない…」
雑音が、あたしの耳に残っていく。
これでもう最後。
振り返らない。
終わりだよ、先輩…。
あたしは呼吸を落ち着かせて最後にこう言った。
「もう戻りません…
さようなら…」
携帯を耳から話し、電源ボタンを押す。
自分で決めた道を、踏み外したくない。
電話を切った瞬間、一気に力が抜けた。
なぜか涙は出なかった。もしここで涙が流れたら未練があるのと一緒。
あたしは次に進む。
自分に言い聞かせるように、沙紀にメールを送った。
自分の素直な気持ちを。
あなたしか見ていない気持ちを、沙紀にも知っていて欲しかったから。
《あたしね、鈴木くんのこと気になるんだ…》
自分の気持ちに素直に。