空の上から愛してる


「どうかした?百合」



すると後ろから声が聞こえてきた。
ふと隣を見ると、ホストマザーのティファニーが笑顔であたしを見つめていた。



この海は優くんのいる場所まで繋がっているのかな。



「ねぇティファニー。この先に優くんはいるかな…」



行ったり来たりする波を見つめながら、こう言うとティファニーは優しくあたしの肩を抱いた。



「いるわ…必ず。信じる先にはね、愛があるのよ…」




ティファニーの胸の中で、思いきり泣く。
優くんにもらった、リングを握りしめながら…。




蒼色は優くんのよう。
出逢った日の空の色。
優くんの部屋のカーテンの色。
別れた日の空の色。
そして、海の色。



だから蒼色を見ると優くんを思い出すんだ…。





「優くんに会いたい…」




今すぐ抱きしめて欲しい。
たくさんキスをして欲しい。
体に痕を残して欲しい。
意地悪を言って欲しい。頭を撫でて欲しい。




会いたい、会いたい…。





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