空の上から愛してる
乗り込む人々。
あたしも席に座り、離陸するまで待った。
窓側の一番端。
隣はブロンド髪のあたしと同じくらいの少女。
どくん…どくん。
心臓がいつもよりうるさい。
そして、時間通り、飛行機は離陸をした…。
真っ暗な空。
他の人の寝息が聞こえてくる。
あたしは一人、体を震わせていた。
でも寝なきゃ…
寝たら、優くんの笑顔に会える気がした。
あたしはいつの間にか、眠っていた。
でも呼ばれたの…
確実にあなただった。
「百合…」
優くんの声が聞こえて、咄嗟に体を起こす。
でもそれは空耳なのだ。こんなところにいるわけがない。
空耳が聞こえるくらい逢いたいということなのかな。
再び眠りにつき、飛行機は空を飛ぶ。
…その時、機体が激しく揺れた。
その揺れに起き上がる人々。
あたしもその一人だ。
客室乗務員が慌てながら走っている。
聞き取れない英語。
どうして、運命は変えられないのだろう。