空の上から愛してる



気づいたとき、あたしは日本の空港にいた。
優くんと別れたあの空港。


すぐに優くんを見つけることができた。
やっと逢えたと思い近寄る。
でも優くんはあたしに気付いてくれたかったの。

テレビに向かって、叫んでいた。
涙をたくさん流して、泣き崩れていた。



あたしはそんな優くんを抱きしめてあげることすらできない。
だって…体が透けているのだから。



すると優くんはこちらを向いて「百合?」と言葉を漏らした。

あたしのこと見えているの?



でももうあたしとあなたは一緒にはいられない。



あたしは最後にあなたが好きだと言ってくれた笑顔で…お別れをした。





あたしが次に行った場所。
それは真っ白な世界。
このワンピースのように白い。



でも何もない。
色すら、建物すら。
無の世界だった。



「…ここ…どこ?」



右も左も、後ろも前も分からない世界をただひたすら歩いていくと、そこには誰かがいた。





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