空の上から愛してる


「あの…ここはどこですか?」




こう聞くと、二人の男の人と女の人は、こちらを向いた。
どことなく誰かに似ている。
思いだそうとしても頭がズキンと唸るのだ。




「空の上って変ですね。もっと思い出したいのに思い出せない…」



真っ白な世界に映るのは、優くんだった。
寝顔や拗ねた顔、笑った顔に、照れる顔。

優くんの全てがそこに映っていた。


でもなぜかな。
それらを見ると気持ちが穏やかになるの。




「空の上には大好きなものしか映らないのよ。ねぇ見て?」




こう女の人が答えてくれた。
あたしは言われた通り上を見上げると、その人たちの周りは、ある二人の幼い子供が映し出されていた。


やはり…どこかで見たことのある女の子。




「この女の子ね、あなたと同じ年頃なのよ?」



そう言ってある写真の女の子を指差す女の人。



「可愛いですね」




「そう?私達、この子達を置いていってしまったの。すごく後悔しているわ…」





この世界はなに…?
もう優くんには逢えないのかな…。




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