空の上から愛してる



逢いたいのに。
映し出された写真に触れようとすると、その写真は消えて、また表れる。

触れることすらできないのかな。




「…ここはどこなんですか…?」




最後に答えて?
もうあたしは優くんに逢えないの?




「…知らないほうがいいわ」




そう言うと二人は消えていった。


前に夢を見たときと同じ。


あたしは体を丸めて、涙を流す。
涙は透明だから、この世界とぴったりだ。




「優…くん…」





この世界で一人、あたしはあなたを待ち続ける。



優くんに逢いたくて苦しくなった。
でもね、この想い出たちがあったから、いつも優くんを思っていた。





あたしはここにいるよ。




空の上からいつも優くんを見ているよ。
優くんは気づいているか分からないけど…


ずっと見ているよ。



優くんが夢に近づいたときもあたしは近くにいたんだよ。
秘密の場所からあたしの名前を呼んだから、返事をしたの。



あたしを愛しているって言ってくれたよね。
嬉しかったよ。



だからどうしても返事をしたくて、風に姿をかえたんだ…。





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