空の上から愛してる


毎回毎回、彼の上手い言葉で操られるあたしも最低だと思う。
けどそれは好きだったからしてしまったこと。

今は、そう思わない。

直先輩をもう好きではない。

だから昨日別れを言ったのだ。
今日から高校生が始まる。
中学生はもう終わり。

だからこの恋も終わりにして前に進みたかった。



あたしはもう一度携帯を開き、メールを作成していく。



《直先輩、あたしはもう先輩が好きではありません。さようなら。幸せになってね》



「…さようなら…」



零れ落ちる、別れの言葉。
このメールを送るとき、少しだけ躊躇ったりもしたが、勇気を出して送信ボタンを押した。
押したあと、心の中がすっと軽くなった気がしたのだ。


でも次の瞬間、直先輩との想い出が頭の中を駆け巡っていった。


一緒に過ごしたクリスマス。
二人でホールのケーキを食べたよね。


一緒に過ごしたお正月。この日はずっと勉強していたよね。
あたしがどうしても先輩と同じ高校に行きたくて二人で頑張ったよね。


そして春。
勝ち取った志望校。



それは、清秀高校。




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