空の上から愛してる



二人きりの教室。
向かい合って座り、優くんは男子の分、あたしは女子の分を言われた通りにまとめていく。


二人には会話がない。
沈黙が続いていく。



何か話さなきゃ。
けど何を?
どくん…どくん…と心臓がうるさいよ。



「ねぇ、鈴木くん…木田くんっていい人だね」



どうして自分がこんなことを言ってしまったのか、わからなかった。
ふいに出た言葉。
けどそれは自分を苦しめる会話の内容だった。



「なっ、何で?」



優くんの顔が見られない。
ずっと下ばかり向いて作業をしていた。



「今日話しかけられたの。メールとは違って楽しかった…」



あたしを励ましてくれたから。
別れ際に『何かあったら言えよ』と言ってくれたから。
けどあたしは無神経だったよね。



すると優くんが何も話さなくなった。
その異変に気づき、作業をやめて優くんの顔を見上げる。
そこには悲しそうな表情を見せる優くんがいた…


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