空の上から愛してる


この作戦はいい方向へ向かうはずだった。
けどそれは思い込みに過ぎなかった。



先生に頼まれたプリントを出して、あたしは一目散に家路を急ぐ。



「ただいま!」


急いで、階段を駆け上る。
早く、早く。
気持ちだけが高ぶる。



「百合!ご飯は!?」



一階から叫ぶ母親の声。今のあたしには当然届いていない。



カバンの中から、携帯を探り出し、メールを作成する。

宛先は木田くん。
なんて言えばいいだろうか?
文章に悩み、最終的に
《突然ごめんね。あたし、鈴木優くんとメールがしたいんだ。良かったら、アドレス教えてくれないかな?》と文字を打ってメールを送った。



返事来るだろうか?
教えてくれるだろうか?


送信完了を確認し、部屋を明るくする。
そして制服を脱ぎ、ハンガーに掛けていると、携帯が鳴った。
この音はメール受信音。

勢いよく携帯を手にとり、開いて内容を見る。


差出人は木田くん。



内容は…



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