空の上から愛してる


そんなある日、再び事件が起こった。
あたしの体と心が遂に粉々となったのだ。


それはある日の休み時間。


いつものようにあたしは沙紀と恋愛の話をしていた。
そして優くんは斉藤くんと。



「ねぇ百合?歩とどこか行きたいんだけど、どこがいいと思う?」



満面の笑みで、少し照れくさそうにする沙紀。
あたしは窓から外を眺めながらデートスポットを思い出す。


そういえば先輩とどこ行ったっけ?
遊園地でしょ、
映画でしょ、
海でしょ…


指折り数えていく。

なぜあたしは先輩との思い出を振り返っているのだろう。
まだ未練があるのかな?
そんなこと、ない。


あたしはあることに気づく。



「そういえば、あたしデートで水族館って行ったことないかも…」



水族館の水槽を優雅に泳ぐ魚たちが、どこかの国の貴族に見える。


気取っていて、お金持ちのようで。


そう思うのはあたしだけかな。



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