空の上から愛してる



優くんは誰かと話している。
一体誰と?
木田くんは5組だし…
3組に知り合いなんていたのだろうか。



ゆっくりと、近づいていく。



見えてくる、ある存在。



「え…」



優くんと楽しそうに話す女の子。
サラサラの黒いロングヘアーに、綺麗な顔。
過去を遡る。


この人と前に会った記憶がある。
それは、トイレで。
憧れのような人。

そのあと、優くんが相沢さんから手紙をもらったと知ってしまったのだ。


この人が、相沢さん?
本当に、本当?


…信じたくなかった。
夢であって欲しかった。

けれど目の前に広がる光景はあたしの気持ちを無視していた。
相沢さんが笑えば優くんも笑う。


相沢さんが『優くん』と呼べば、優くんは『瞳』と呼ぶ。



見ていられなかった。
何かが崩れ落ちていく音がした。




あたしは相沢さんに勝てる気がしない。




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