空の上から愛してる



最近染めた髪の毛。
ハニーブラウン。
淡い茶色が気に入っている。


それらをドライヤーの風で泳がせて、髪の毛をセットする。
今日はふんわりと巻き髪にしようかな。


お洒落を楽しむ私。
この時、携帯に先輩からのメールが届いていたことなんて、知るはずもなかった…。



メールに気付いたのは、朝食を済ませ、家から出ようとしていたときだった。



「百合、気をつけてね。お母さんはあとで行くから」



「はいはーい!わかったよ!行ってくるね!」



真新しいローファー。
真新しいカバン。
真新しい制服。


勢いよく家を飛び出た。太陽が視界に入ってくる。
眩しい、春の日。



「あ、携帯、携帯。」



カバンの中から携帯を取り出すあたし。
新着メール一件。
メールを内容を確認しようとしたとき、一人の影があたしの視界に映った…。



息が止まる。
呼吸ができない。



「百合、お前は本当に俺と別れたいわけ?」





胸が、苦しい。
息が、苦しい。




桜の花びらが一枚ひらりと地上で息を引き取った。




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