空の上から愛してる


なぜ、ここに?
何をしにきたの?


わけが分からなくなったあたし。
ごくんと生唾を思いきり呑んだ。



「せ…んぱい…」



見つめ合うあたしたち。
先輩が真っ直ぐあたしを見つめるものだから、金縛りにあったように体が硬直する。
きらりと反射するピアス。
先輩の大きな瞳が、あたしをおかしくさせる。



怖い、怖い。
先輩は怒ったら何をするか分からないから。
喧嘩をしたとき、頬を殴られたことがある。
普段は優しいけれど、喧嘩したらその表情とは裏腹な表情に変わる。

まるで悪魔のようになる。


先輩は天使と悪魔、二つの顔を持っているのだ。



「俺、なんかした?」



表情を変えずにあたしに聞いてきた先輩。
何もわかっていない、と思った瞬間だった。



何もわかっていない。
あなたはあたしを幸せにしてくれない。



あたしが寂しいと知らないでしょう?
あたしより他の人が好きなのでしょう?


だったらあたしは消えるわ。




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