空の上から愛してる


気になることがひとつ。


「優くんの好きな人は相沢さん?」



聞きたい質問。
答えてくれるかは分からないけれど、自分の中にしまってはおきたくなかった。



「何で…そんなこと聞くの?」



優くんは前を向いたままこう言う。
それを聞いたあたしは、小さく笑って「気になったからかな…」と言った。


気になって、気になってしょうがない。



すると優くんはくるりとあたしの方に体を向けた。
そして苦しい表情を見せる。



「違うよ!本当に!!」



必死な彼を疑うなどできない。
優くんはも苦しかったんだよね。



「じゃあ誰?」


冷静になり、再び質問をする。


けれど優くんは「今は言えない」と誤魔化した。

これ以上聞くのはやめよう。
優くんにも優くんなりの事情があるはずだから。



「そっかぁ」



「あのさ…あの…滝川先輩?だっけ?あの人は誰なの?」





本当は知られたくなかった。
先輩の存在を。
だけど言わなくちゃいけない日があるよね。


優くんは先輩の存在を知ってどう思ってくれた?
嫉妬してくれたかな?



優くん…
あなたへの真っ直ぐな気持ち、膨らみすぎて張り裂けそうだよ…。




だから、あたしの気持ち聞いてくれる?




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