願うは君が幸せなこと
「それから暫く、お前を見かけるたびにその時のことを思い出した。そしたらいつの間にか、会社でお前の姿を探すようになっていった。なんでこんなに気になるのかって考えて、気付いたんだ。俺が守ってやりたいんだって」
「!」
心臓を、ぎゅっと掴まれたような感覚がした。
そんな優しい目でそんなことを言われて、月宮さんへの気持ちがどんどん膨れ上がってしまう。
「そしたらある日、福島とお前が仲良いことを知ったんだ。それで福島に相談するようになって、なんとかお前に近付けないかと思った」
「夏美に、相談……?」
夏美に月宮さんとの関係を聞いた時に、相談相手だと言っていたことを思い出した。
あの時はてっきり仕事の相談だと思っていたけれど、もしかしてこのことを指していたのだろうか。
「なんとかして話すきっかけが欲しい。でも部署も離れてるし、どうしようか悩んでた。ちょうどそんな時に、偶然エレベーターで一緒になった」
「まさかそれって、初めて話したあの日のこと……?」
そう尋ねると、月宮さんは小さく頷いた。
「ラッキーだと思った。話しかけてみようって。……だけどその数日前に、福島から聞いて知ったんだ。お前が千葉さんと付き合ってるって」
「あ……」
「話しかける直前にそのことを思い出して、無性に悔しくなった。しかもあの千葉さん。腹が立って、ついあんな態度になって……」
「つい、って……!怖かったしムカついたんだからね!?」
聞き捨てならなくて言い返すと、月宮さんは困ったように頭を掻いた。