願うは君が幸せなこと
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「月宮がそこまで本気になるなんてねえ」

「夏美、ペース早くない……?」

「こんな口の悪い無愛想な男が」

「おいやめろ」

「祐希、こいつと別れたくなったらいつでも言ってね。協力するから」

そう言ってぐいっとジョッキを煽る夏美を見て、月宮さんと顔を見合わせた。
夏美がお酒に強いのは知っているけれど、今日は無理させる前に帰さないと、と思った。

月宮さんと想いが通じ合ってから数日後、夏美を含めた三人で居酒屋に来ている。
上手くいったのは夏美のおかげでもあるので、一応お礼を兼ねて、ということだ。

「嘘よ。二人が上手くいってよかったって思ってる。一時はどうなることかと思ったけど」

「ありがとう夏美」

堅苦しくない大衆居酒屋で、この三人で飲むビールは最高に美味しかった。
高い料理じゃなくても、お洒落な店内じゃなくても、大切な人達となら楽しいのだ。

「まさか咲野さんが千葉さん目当てだったとはねえ」

「ほんとほんと。……ねえ夏美、千葉さんって、あの受付嬢の人とはどうなったの?」

千葉さんと私が別れたきっかけは、千葉さんの浮気だった。
だけどその後、その受付嬢との噂をまったく聞かなくなっていたことに気が付いた。

私と別れてもそっちとは別れるつもりが無さそうだったので、まだ付き合っているとすれば咲野さんはどうするのか、少し気になる。

「それ私も不思議なのよね。多分祐希と別れたすぐ後に、その子とも別れたっぽいのよ」

「え?そうなの?」

驚いて箸を落としそうになって、慌てて持ちなおした。
なんだ、結局すぐに別れていたのか。

まあそれを知ったところで、今更もう何も思わないのだけど。

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