願うは君が幸せなこと
「わかったか?」
「……うん」
ガラスのテーブルにカップを置いて、月宮さんが隣に座った。
「仕事早く終わりそうな日は連絡するから、飯行ったりしような」
触れそうで触れない位置にあった手を、ゆっくりと繋いでくる。
その手をすぐに握り返した。
「でも開発部って基本残業してるでしょ?無理しなくても……」
「無理して時間作ってでも一緒にいたいんだって意味なんだけど、わかんねえの?」
覗き込まれるように目を見られる。まるで心の中を読まれているようだ。
この部屋でこうして近くに座っているだけで、心臓が大きな音を立てているのに。
その上こんなに嬉しい言葉をもらっては、苦しくて痛いくらいだ。心を鷲掴みにされてしまう。
どんどん夢中になる。離れたくなくなる。会うたびに気持ちが大きくなる。
そう感じさせてくれる月宮さんは、凄い人だ。
月宮さんの正体があの生きた伝説の営業マンだと知った時も、この人はとんでもない人だと思った。
憧れであり、尊敬せずにはいられない人。
月宮さんは、私にとても大きな影響を与えてくれる。仕事でも、プライベートでも。
それはきっと、これから先も変わらずに続いていくんだろう。
この人に出会えてよかった。