願うは君が幸せなこと
月宮さんの重さを感じて、ずるずると体が下がっていく。
もしかしてこのまま、と思った瞬間、ぐいっと腕を引かれて起き上がった。
熱っぽくて男らしい、”これから”を求めている目。
その目にいとも簡単に射抜かれて、力が抜けてしまう。
今の私は、どんな顔で月宮さんを見ているのだろう。
そして、急に立ち上がった月宮さんが私の膝の裏に腕を入れた。
まさか、と思った時にはもう遅い。
背中からソファーの感触がなくなって、ふわっと抱き抱えられてしまった。あろうことか、お姫様抱っこだ。
「……今更、遠慮する必要なんてないだろ?」
耳元でそう言われて、かあっと顔が赤く染まる。
何も返事をしないものの嫌がる様子を見せない私に、月宮さんは満足そうに笑ってみせた。
きっとすぐそこに見えているドアの向こうは、寝室なのだろう。
そこでは、まだ見たことのない月宮さんの表情を、きっと知ることが出来るんだろう。
首に回した腕は、落ちないようにではない。
月宮さんが私を幸せにしたいと言ったように、私も月宮さんのことを幸せにしたい。
守ってもらうだけじゃなくて、守りたい。
そう伝えたら、彼はどんな反応をするだろうか。
明日の朝、同じベッドで目を覚ました後に、伝えてみることにしよう。