願うは君が幸せなこと
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今日は、先輩から引き継ぐ取引先に創くんが挨拶に行く日だった。
私のリサーチを参考にして用意した和菓子を持って、緊張した顔で外出の用意をしている創くん。
その姿は少し頼りなく見えるものの、なんだか可愛らしくて、母性本能をくすぐられた。
初めて挨拶に行くということで、今回はもともと担当していた先輩も同行するらしいので安心だ。
「じゃあ頑張ってね。第一印象が大事だからね」
「はい!瀬名さん、行ってきます!」
創くん自身も不安はあるだろうけど、新しく仕事を任せてもらえる嬉しさのほうが強いのだろう。
こういう子は、自分の仕事に自信が持てるようになればきっとどんどん伸びていく。
お昼過ぎに会社を出ていく創くんと先輩を見送って、とりあえずほっと息をついた。
夕方には帰ってくると思うので一応どうだったかを報告してもらって、それでちょうど仕事を終えるくらいの時間になるはずだ。
そう思ったので、すぐに報告書をまとめられるように準備しておくことにした。
それと、今回引き継ぐ会社の取引内容で見直す点はないか、新しくアプローチ出来ることはないか。創くんの先回りをして、彼の負担を減らす方法を探っていく。
ところが予想は外れ、定時近い時間になっても創くんは戻って来なかった。