願うは君が幸せなこと
営業補佐である私が今アシストしているのは、まだ入社二年目の創(はじめ)くんだ。
一年目だった去年は、先輩について回って色々と勉強して、今年から一人で担当を任されている新人くん。
三年間ベテランの先輩の補佐をさせてもらった私は、今年は初めて自分より年下の子と仕事をすることになった。
自分がしっかりしないと、というプレッシャーはあるものの、今のところは上手くやれていると思う。
「瀬名さん!来週から担当させてもらえる会社のことなんですけど」
「ちょうど私も相談しようと思ってたの」
「本当ですか?嬉しいです」
創くんとは、仕事をする上で相性が良かった。
考え方や仕事のやり方が似ているのか、同じタイミングで同じことを考えることが多い。
そしてなにより、創くんはとても一生懸命だった。その姿に、私のほうが勇気付けられているのだ。
「僕、早く一人前になってあの”伝説の営業マン”に追いつきたいんです!」
これは創くんの口癖というか、目標だ。
この言葉を聞く度に、私は見たこともないその伝説の人物を想像してみる。
「じゃあ、まずは来週からの引き継ぎをしっかりしないとね」
「はい!頑張りますっ」
「私も少しリサーチしといたよ。その会社の社長、好物は和菓子だって」
「そ、それは貴重な情報ですね……!来週までに用意します!」
創くんが嬉しそうに笑った。
愛嬌のあるその笑顔につられて、私も笑った。