願うは君が幸せなこと
「……どうしたの?」
「……私、お節介だったのかも」
つられたように私も手を止めて、俯いた。
創くんのためにと、良かれと思って行動したことが返って彼を嫌な気分にさせてしまったかもしれない。
それなら、最初から何もしなければよかった。
そう言うと、夏美は何故かニッコリ笑った。
「まあね、あの子だってプライドがあるから」
「やっぱりそうだよね、自分で解決したかったのかな」
「あー、いやそうじゃなくて。仕事のプライドも多少はあるかもしれないけど、今のは男としてのプライドって意味かな」
「男としての……?」
よくわからないことを言われて、首を傾げた。
夏美はそんな私を見て、より一層楽しそうに笑った。
「わからないならいいんじゃない?わからせてない創くんが悪いんだから」
「…どういう意味?」
「ほら早く準備しないとみんな出勤してくるわよー」
急に準備を再開し出した夏美についていけない。
何の話だったんだろう、今のは。
もしかしたら夏美のほうが、私より創くんのこと理解してるのかな、と考えて、少しだけ落ち込んだ。
また上機嫌でお茶の用意をしている夏美は、きっと何のことか教えてくれないだろう。
小さくため息をついて、時計を見上げた。
すると思っていたより時間が経っていることに気付いて、慌てて準備をする手を速めた。