願うは君が幸せなこと
「好きなんです、本当に。一年目の時からいつも優しく接してくれて、元気付けてくれて、嬉しかったんです。……馬鹿みたいだけど、瀬名さんのこと太陽みたいに思ってたんです」
言われている側もかなり恥ずかしくて照れてしまう言葉。
言っている側はどれだけ勇気がいるだろう。
「僕のこと、どう思ってますか……?」
震えそうな声を懸命に絞り出しているような、か細い声だった。
創くんが勇気を出して言ってくれた言葉に、私もちゃんと、返事をしないといけない。
私にとっての創くんは。
「……創くんのことは好きだし、これからも一緒に仕事したいと思ってる。だけど、それは仕事仲間としてで……。ごめんなさい」
ゆっくりと一つ一つそう言うと、創くんはわかりやすく落ち込んでしまった。
肩を落として、俯いて。
こんなに落ち込ませてしまったのは私なのだと考えると、心がズキズキと痛んだ。
いつも前向きで明るい創くんから笑顔を奪ったのは、今は紛れもなく私だ。
「そう、ですか。わかりました。……ありがとうございます」
顔を上げて力なく笑った創くんは、無理をしているように見える。
だけどどう声をかければいいのか、どうすれば元気を取り戻してくれるのかがわからない。
余計なことを言えば、また余計なお世話と思われるかもしれない。
「瀬名さん、前に僕が仕事でミスした時、色々とアドバイスしてくれましたよね。もっとこうしたらどうかとか」
「あ、うん」
それは、月宮への相談でもらったアドバイスを、私なりに創くんに伝えた時のことだ。
あの時に創くんが私に迷惑をかけていると謝ってきて、そんなつもりじゃなかったのにと私も落ち込んだ。
「あれ、瀬名さんが僕のために色々考えてくれたことはすごく嬉しかったんです。だけどその時は、どうしようもなく情けない気持ちになってしまって。瀬名さんに良いところを見せたいのに、逆に気を使わせて僕のミスをフォローさせてしまって、もう消え去りたい気持ちになったんです」