地上最強。
「次は、校長先生のお話です。校長先生よろしくお願いします。」
そう、女の先生が、前で言った。
そして、校長先生らしき人が、前に
足を進めている。


はぁ。この次だ、入校生代表挨拶。
本当にやだよー。何で学年1位なの!
まぁ、そりゃこんな学校で私が
1位じゃないはずもないけどね。

今、突然宇宙人がやってきて、校長先生を
連れて行っちゃったりしないかなー。
そしたら、私は、入校生代表の挨拶なんて
しなくていいでしょ?




そう心の中で思いながら、前に目をやる。
校長先生が、ステージの上に立って、
こちらに頭を下げた。そして
マイクのある台の所へ行っているーーーー。


と。


ガチャン!!


大きな音が”私の隣”から聞こえた。
一斉に音の方を見る。
ガヤガヤ、ザワザワしてた体育館が
一瞬、シーーーーン。と静まる。
あぁ、これが本来の入学式だよ。







横には、椅子が倒れて、その椅子の
前には、さっきの”セットした金髪”君が
立っていた。ニヤニヤ笑いながら。

そして、前に進んで行く。
階段を、一段、二段、のぼっていく。






そして、短い
階段を登り終えたところで


「あ〜だりぃ。話ナゲェんだよ。おいどけハゲ。俺が代わりに校長てんてーの挨拶シテヤル!」


そう、校長先生に言うと、校長先生は
目ん玉が飛び出そうなくらい目を見開いて
口は、餌を待つコイのように、パクパク。
そして、後ずさりしている。

‥情けない。全く情けない。


しかも、話ナゲェんだよ。って‥校長先生、まだ、一言も話してないのに。


「みなさーん。こんちわー。この学校はー、んー、平和であれー。ってな感じで、世界の平和を祈ってる俺は篠原原平。まー、生徒のキミタチ★はよー、俺のこと知ってるだろーけどよー、てんてーたち、俺の事知らねえだろ?だから覚えてくれよなー!以上。かいさんかいさーん」

そう言って、階段をダルそうに、降りてる。


そして、かいさんかいさーんと
この、”セットされた金髪”君が
言った途端に、周りの人たち、
出口に向かって歩いてる。

先生たちは慌ててるけど動けてない。
ちょっと〜教師がこんなんじゃダメっしょ。






あぁ‥私一人になっちゃう!
私も戻るべきなの!?!?



「何くらい顔してるの?入校生代表の挨拶、もうしなくて済むんだよ?喜びなよ」


ーーーーーえ?何?何この人?





私の目の前で、私の視線に合わせて
かがんでいるこの人は、さっき、いや
今!校長先生に暴言を吐いて
全校生徒を解散させてしまった奴だ。

なんで私の前にいるの?
そして、今なんて言った?





「‥え??」

そう私がアホみたいな声を出すと


「だって、横でうるさいじゃねーのよ。入校生代表の挨拶、したくなかったんだろ?」


「え?あっ、まぁ、確かにそうですけど‥てゆーかどうして知ってるんですか?私が入校生代表の挨拶したくない事!も、もしかして、私の心の中、見てたんですか!?!?人の心の声が聞こえるんですか‥?」


や、やばい‥すごい人に出会えたのかな‥?


「はぁ!?何言ってんの?心の声も何も、口にでちゃってたじゃねーの。」


「え!?私、口にでてましたか!?」


「”今、突然宇宙人がやってきて、校長先生を
連れて行っちゃったりしないかなー。そしたら、私は、入校生代表の挨拶なんてしなくていいでしょ?” とか言っちゃってんの。まる聞こえ。そんなの、困ってる奴が隣に居るのに、助けねーわけにいかねぇじゃん?」


そう言って、ニコニコ笑ってる。
なんで爽やか‥!顔も文句つけるとこ
ないくらい整ってるし‥!

「うっぷす。お恥ずかしいです‥。だ、だけど、ありがとうございました。ごめんなさいっ‥私の独り言のせいで」


「いーってことよー。ま、クラスも同じだし、席も俺の斜め後ろだろー?まー”俺等”が教室に居るのは朝くらいだとは思うけど。仲良くしよーぜ」


「おいげんぺー何してんだよ?ナンパか〜?お?って、うーちゃんじゃんよっ。げんぺーと知り合いなの〜?」

そう言ってるのは、さっき手を握ってきた
秋山くん。下の名前は確か‥佐助くん?

「今仲良くなったんだよ。」

そう、げんぺーとか呼ばれてる人が言うと、



「じゃあもう”ヒトミシリ”だなー」

急に、後ろから知らない声がした。
振り返ると、そこには
黒髪で無造作にセットされた髪を
風に遊ばせて、目がクリクリとしてて
すごく可愛い顔の男の子が眠そうに
こっちを見ていた。


「いやいや、それをゆーなら、”顔見知り”な。オメーはどこまでばかなんだよ青空ちゃんよ。てゆーかなんで佐助、うーたんとか呼んじゃってんの?オメー等こそ知り合いかー?」

そう篠原原平くんが言うと、秋山くんが
私に肩を組んで、


「さっき見かけねー可愛い子おるやーんって思ったんよっ。んで、話しかけた訳ー。そして仲良くなったわけー。うーたんの名前は、麗ちゃーん。名前も可愛いとか反則じゃん?」

そう言って、頭を私の頭に預けてきた。

は、恥ずかしい‥何この状況。
いつの間にか見知らぬ人も居るし。
囲まれちゃってるし。




「麗ちゃん?珍し〜名前だな。じゃー俺はうーちゃんって呼ぶとするか〜俺の事げんぺーでいいからなー」



「‥うーちゃん」

「は!?何きゅーにうーちゃんとか言っちゃってんの?キモチワルッ!なぁ佐助?」

「おー。キモチワルすぎっ。そーゆうキャラじゃねーだろーよー。どうしちゃったの青空ちゃんよー。」


「‥人の名前呼ぶのにキャラかんけーねえだろ。うーちゃんよろしくな」

そういって、目がすごく大きくて
可愛い顔の男の子が、ニコッと笑った
あーはい、私死にそうです。

「あっ、あの、ありがとうございます。な、仲良くしてください。じゃあ、失礼しまーーーーー」


「うーちゃんこの後何するの?」


げんぺーがそう聞いてきた。
この後??この後は帰るでしょ。


「家に帰ります」

「じゃー暇って事だなー。よし、じゃあ俺らとあそぼーぜ。友達記念日ってやつよ」

そう言ってケタケタ笑ってる。


‥友達記念日?何これ?
私、友達ができたの?な訳ない。
遊ばれてるんだ。ばかにされてる。


「あっすごく嬉しいですけど、私は遠慮しときます。用事もあるんです、すいません」

そう言って、頭を下げてその場を
去ろうとすると、

「あーあ、げんぺーちゃん残念〜!あ、うーたん♪これ、俺の番号なんよっ。登録よろしくー」

そう言って佐助くんがニコニコ笑ってる。
私はもう一度頭を下げて、その場を去った。

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