地上最強。





しばらく紙を眺めてると、急に後ろから

「そこ、邪魔。」


低い声でそう言われた。

私はびっくりしてコケそうになった
体をなんとか保って振り返ると、

背は190くらいあるんじゃないの?って
くらい高くて、細身で、色白で。

世間で言う ”イケメン” が不機嫌な顔して
立っていた。何この人。超綺麗!!




「‥あっすいません。ぼーっとしてて。あっ階段登るんですよね?すいません。どうぞ‥すいません。」


私は、紙を眺めてる間、ボケーっとしすぎて
下足箱から階段に続く細い道の真ん中で
立ち止まっていたのだ。



私が避けると、男の子は無言で
階段を登って行った。



男の子と交流がないから、なおさら。
私はビッックリした。
あんなに顔が綺麗な人がこの世に居たなんて
シラナカッタ‥!!!!!!

あんなに綺麗な二重で、鼻筋もとおってて
唇は薄くて綺麗なカタチで。肌は白くて。
お肌はすごくハリがあって、女の子の
私より綺麗で。スタイルも抜群。
そして、いい香りまでした。完璧だよ。


‥やだ!私ったら!なんか変態みたい!

でも、今の人の髪形も、結構明るめの
チャパツだったし。世間で言う”不良”なのかな。


‥ハッ!いけないいけない!
教室に行かないと!!!!!!


私は階段を上がる。
そうするとガヤガヤと話し声が聞こえてくる。


自分のクラスの6組に行くまでの間
1組から3組の教室の前を通ったけど
皆、すごく派手。そしてすごく仲が良さそう。
そりゃそうだよね。だって、中学校の
時からのお友達だもん。
私だけだよ、お友達居ないの。寂しいな。


そんな事を考えながら4組の前を
通り過ぎようとした時、誰かに
腕を掴まれた。


‥???


振り返ると、そこには茶髪の
ツーブロックで、いい感じに髪を
セットした、そして格好はすごく
チャラチャラしてて、どこから
どう見ても”遊び人”な男の子が
私を見て ”ニコニコ” ではなく
”ニヤニヤ” していた。



「‥っ!な、なんですか?」


「プハッ!何ですか?じゃないんよっ」

「‥え?」

「かわいいね、キミ。でも春中じゃないっしょ?見慣れねぇ顔見たら、挨拶するもんでしょ?普通はねぇ。それに、こんな清楚な子ウチの学校におったら目立つんよっ。」


「‥へ??? あっ!私は、南瀬中から来ましたっ!」

「南瀬って‥あの?‥ほー。お嬢様じゃん。でも何でこんな学校に来たわけ?フツーに変じゃん」

「あっえっと‥それには深いワケがありまして‥その‥話せばながーーー」


「おい!”佐助”!オメーまた女の子ひっかけてんのかよ!いい加減にしろよ!」



え!?まだ私話してる途中なんですけど!
てゆーか何!何この人!笑顔すごく可愛い!


「おー。”恭ちゃん”じゃんよっ。ナァニ、ききすてならんな。まるで俺が女の子をよくひっかけてるみたいな言い方じゃねーかよ。それにしても”6組”にはモエカちゃんいるんかねー。俺アノコちょーお気に入りなんよっ。」


話についていけない。なにこのふたり。
こわいんですけど。ヤンキーなんですけど。
周りの人たちも、少しこの2人とは
距離をとってるし。ナニコレナニコレ。
‥でも、2人とも顔は文句なしにカッコいい。
私、今日、この数分だけで、極上の
イケメンに3人も出会っちゃった。てへへ




「オマエは良く女の子ひっかけ回してるだろーが!モエカは確か”6組”には居なかったぞ。残念だな。ちなみに6組に女の子、1人だけらしーぞ!」


‥6組?6組って‥‥


「あ‥あの‥お、お二人さんは‥あの‥何年生の‥何組の人です‥か‥?」


‥もしかして。嫌な予感がする。
嫌な予感ほどよく当たるもの‥よね?




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