夏色の空

――――――

「バッチコーイ!」

「こらぁ!もう少し腰低くして構えろぉー!」

土手の横の小さなグランドで、小学生くらいの子供たちが、野球の練習着をドロドロに汚しながら一生懸命ボールを追いかけている。

そして、バッターボックスで、ノックのボールを打っているのが成宮。

成宮はコーチだ。

俺はちなみに、成宮がいないときの臨時コーチということで、ベンチに座りながら子供たちを見ている。

ここのチームの監督の野田さんは、近くの土手で横になって寝ている。

指導力は贔屓なしであるのだが、成宮や俺がいるときはいっつもそこで寝ている。




「晴くーん!陽くーん!野田さーん!みーんなー!」

上の方から声がする。

「七海ー、日和ー、どーしたー?」

休憩ー、と子供たちに叫んでから、成宮がまた叫んだ。

「えへへ、差し入れだよぉ」

七海は例えれば太陽のような笑顔で答え、日和とつれてグランドの方へ降りてきた。

「じゃじゃじゃじゃーん!今日の差し入れは、スポドリと運動後のおやつとしてクッキーを焼いてきましたぁ!日和と」

「……こ、こんにちわ」

「おっしゃぁあ!チビー、今日はタダでスポドリ飲めるぞぉ!喜べぇ!」

「「いよっしゃぁああ!」」

チビどもが吠えた。

基本的にこいつらは練習してたから水とかに餓えてんだろうな。

まだ四月の下旬だと言っても、汗かくまで走りまわってちゃ、暑くなるに決まってんだろうな。


七海と日和は高校に入ってからの友達で、七海一家は野球オタクの集まりで、弟がここのチームに入ってる関係で仲良くなった。

日和は七海関係で仲良くなった。

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