アハト
オトコは走っていた。

迫りくる色たちから、朱い唇で笑う男からどうか遠くへ。

部屋にたどり着いた。

目にヒロガル静寂の白。

部屋はいつもの白に戻っていた。

オトコは赤いすずらんを捨てた。

オトコはネコを捨てた。
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