アハト
ネコは白かっただろうか、黒かっただろうか。

赤だっただろうか。

碧かったのは何誰(だれ)の目だっただろうか。

思いの色はいわぬ色を、黄金のむらさきは白い黒を侵しては進み侵されては戻る。

オトコは眠らなかった。
窓の外が黒に満たされても。

夜も空に明かりは灯される。
月や星たちはみなそれぞれ違う光をオトコの元へ濯ぐ。

オトコは怯えていた。

オトコは…
ぼくは今まで何も考えなかった。
流れる日常を太陽を夜を、受け入れて来た。

この疑問は、怖さは何なのだろう。

ぼくはアハトを捨てた。

戻ったんだ。

ぼくは…
オトコは深い眠りについた。
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