アハト
出会い・再会・真実〜彼の名はライフ〜
オトコは長い長い間白の地点に立ち尽くした。

白に侵されたいつものカゴには近づけない。

だがそこにカゴはあり、カゴをもたなければ帰れない。

カゴを持ち帰りいつもの様に食べるのだ。

オトコの樹の下のオトコのカゴのすぐ側に見た事のある男が立っていた。

白い肌に漆黒の髪、朱い唇が薄いほほえみを作るのを手伝っている。
真っ黒な服が細い長身を包んでいる。

腕組みをして白い樹に寄りかかりオトコを見る、その異形の存在にオトコは身動きができなかった。

『ぼくの名はライフ』

挑戦的にも見える優しく残酷な斜めの視線でライフは名乗った。

白く止まった世界で彼の黒髪だけがどこからか吹く風に揺れていた。

ライフはゆっくりとカゴを持ち上げ、オトコに差し出した。

今度はやわらかく少し困った様に笑い、

『昨日はごめん』

と朱い唇で言った。

それと同時に、

ライフの持つカゴに薄茶が戻る、紅い樹が思いの色を取り戻しいわぬ花が美しく黄色に咲き乱れる、薫る花は薄桃を思いだし蒼を取り戻した突き抜ける空に七色の橋がかかる。
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表紙・目次

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