いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「美優!」
心地いい声が、あたしの意識を戻した。
帰り支度をしている人やこれから部活へ向かう人でザワザワしている教室。
窮屈な授業から解放され、ぼうっと窓の外を見ていたあたしは、突然呼ばれた声に驚き、持っていたペンケースを落としてしまった。
「り、律くんっ……」
「あはは。美優の反応っていちいち可愛いなあ」
恥ずかしげもなく可愛いと口にするのはあたしの彼氏、白鳥律(シラトリ リツ)くん。
そして床に散らばったシャーペンを素早く拾い集めてくれると、あたしの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
「……ありがとう」
175センチある彼との身長差は20センチ。
見上げた角度で視線がぶつかるこの距離がくすぐったくて、体が熱くなっていく。