いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「…………あ?」



……呼んだだけでそんな迷惑そうな顔をしないでよ。

土曜の夜、突っぱねたのはあたしだしそれは悪いと思ってるんだから。



「あの……土曜日は……ありがとう……」



黒崎くんがいなかったら、どうなってた分からないことばかり起きていた。

襲われかけたり車にひかれそうになったり。

苦手だけど、それを助けてくれたのは黒崎くんだから。



「冷静になって、黒崎くんがいなかったらって思ったら……だから、それは……ありがとう……」



行き過ぎた言動を許したわけじゃない。

だけど、助けてくれたことには心から感謝していると。

それを伝えたくて、決死の覚悟で告げたあたしにたった一言。



「……べつに」



興味もなさそうな顔であたしから視線を外した。



きちんとお礼を言えば晴れると思ったこのモヤは、結局あたしの心の中からよそへ行ってくれることはなかった。

消えるどころか、あたしの心をさらに白く染めた気がした。


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