いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
後ろは2年の先生たちの島で、岸本先生になにかを追及されているのは黒崎くんだったから。
「……、」
心の中で、絶句。
職員室にいる今、少しでも黒崎くんと距離を置けていると思ったのに。
どうしてこんなにも近くに……。
トクンッ……トクンッ……。
小さく鼓動を奏ではじめる胸。
ああ、まただ。
最近は黒崎くんが視界に入っただけで、目覚めたように心臓が騒ぎ出すんだ。
とにかく今は、気づかれませんように。
そう思いながら背中を丸める。
「頼むからもう少し真面目にやってくれないか」
懇願するように言う岸本先生は、明らかに黒崎くんのなにかに手を焼いているよう。
中島先生はどこかへ行ったきりまだ戻ってこない。
後ろの声が、聞こえてくる。
「黒崎の実力はこんなもんじゃないだろう」
「……」
「毎回毎回、一体なにが不満なんだ」
「……」
「さすがにこれはないだろう」
「……」
「このままだったら大学進学……いや、卒業……いや待て、普通は進級だって危なくなるんだぞ!?」