いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



無視を貫く黒崎くんに、話の大元は見えない。

それでも進級を危惧している担任の口ぶりからも事態は深刻なのだと悟る。

岸本先生は決して怒っているのではなく、心配している。


なのに無視を決め込む黒崎くんは、やっぱりそういう人間なんだと改めて突きつけられたようで、心の中がジクジクした。

痛いんじゃなくて、なんかこう、もどかしい感じ。


なんの話をしてるのか、すっごく気になる……。


反応のない黒崎くんに疲れたのか、岸本先生は独り言のように呟いた。



「……学年で最下位はないだろう」



…………最下位!?


やるせなさそうに放つその言葉に、丸めていた背中が伸びた。

思わず振り返りそうになって、寸前で回避。


……あぶないあぶない。



最下位って聞いて浮かぶのはひとつ。

つまり……先日終わった中間テストの結果、黒崎くんは最下位だったってこと……?


今までの話を整理すると、きっとそう。

2年生は全部で8クラスの約40人学級。

ザッと計算すると320番くらい……。


うわっ、

黒崎くんて勉強できないんだ……?

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