いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「なんだかんだ言ったって、誰かしらは最下位になるんじゃないっすか?」



黒崎くんが初めて口にしたのは、もっとらしいセリフ。



「そ、そりゃそうだが……」


「先生たちもひどいっすよね。生徒が勉強出来ないのは、先生たちの技量のなさってこと、棚にあげるんすからねぇ」


「おい黒崎!先生たちだって日々勉強会を開いてだな、わかりやすい授業を……んんっ、今はそんな話してるんじゃない!お前の場合はわけが違うだろう!」



うまくやり込められそうになっていたけれど、何とか威厳を保つ岸本先生。



「入試で首席だったお前がなにを言ってるんだ。このままだと、フォローするにも限界があるんだぞ!」


「フォローして下さいなんて言ってませんよ。ありのままの評価をしてくれて結構ですから」


「そんなこと出来るわけないだろう……お父さんがどれだけ黒崎に───」


「あ~俺、次の授業始まるまでに便所行きたいんすよ。先生知ってます?便所行かせないとか体罰になるらしいっすよ」

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