いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
挙動が怪しかったらしく、万葉ちゃんに顔を覗き込まれて咄嗟にあたしが口にしたのは、やっぱり彼についてだった。
「あっ、あの、あたし達が入学したときの新入生代表って誰だったかなあと思って……」
職員室で黒崎くんだと聞いたくせに再確認したのは、さっきの話を信じてないわけじゃない。
ただ、そこから広がる何かに期待していたのは、否めない……。
「ああ、それなら黒崎だよ」
「え?」
「ほら、同じクラスの」
わざわざ付け足してくれたのは、きっとあたしに黒崎くんの認識がないと思ってのことだろう。
でもちがう。
驚いたのは、軽く言ってのけた万葉ちゃんに、だ。
「黒崎ってあたしと同じ中学出身なんだ」
ああ、そうなんだ!
「成績は常にトップで、ここの受験だって楽勝だったはずだよ」
あたしは死に物狂いでがんばったけどー、と拗ねたように言う万葉ちゃんにその辻褄があい、同中なら知ってて当然かと納得。
「ざっくり言うと、イヤミかよってくらいの秀才」