いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



そんな黒崎くんが今回の中間テストで最下位……。


ううん。岸本先生の言い方だと今回が初めてじゃなさそうだった。

毎回毎回……って、そしてフォローがどうのこうのって。


理事長の息子が学年で最下位なんて、岸本先生だけじゃなく学校だってそれは困るだろう。


あ、岸本先生も言いかけてたっけ、お父さんがどうの……とか。


思い返せば、まるでその続きを言わせないように話を終わらせて職員室から出て行っちゃったっけ……。



「あんなんじゃ到底エリートに見えないでしょ?でもそれって一種の反抗かもねー。あんな大病院の跡を継ぐなんて、プレッシャーとかストレスはハンパないんだろうし」



他人事のように言ってお弁当の蓋を閉める万葉ちゃんの一連の動作をぼうっと目で追う。


……じゃあやっぱり。

黒崎くんは親に反抗するためにテストで悪い点を取ってるの……?



「黒崎の頭、半分だけもいいからわけてもらえないかなあー」



のん気に言う万葉ちゃんは、まだ黒崎くんの順位がトップだと疑ってない。


最下位だなんてことは夢にも思ってないだろうし、あたしだって口が裂けても言えないよ……。


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