いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「美優がそういう気持ちはよくわかるよ。
まあ……独特な雰囲気があるよね。権力を振り飾す人じゃないけど、とっつきにくいし男子からは敬遠されてるかな。
親がすごすぎて、ヘタに仲良くしてなんかあってもイヤだからってさ」
明かされる黒崎くんの素性に、万葉ちゃんの口元を真剣に追う。
「家柄もいいし顔だって悪くない、それだけで王子様要素は十分あるから、中学のときは女子に大人気だったけどねー」
やっぱりモテたんだ……。
「その頃は今よりも柔軟性があったんだよ。黒崎が変わったのって、やっぱあれが原因なのかな……」
空に目をやり、すこし憂いを帯びたその瞳に胸がざわつく。
「……あれって?何かあったの?」
「黒崎には年の離れたお兄さんがいたの。だからほんとは黒崎は跡取りじゃなかったの。でもね、黒崎が中2のときにお兄さんが亡くなっちゃって」
「えっ……?」
「事故でね」