いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



はっ……!


一気に現実に引き戻されれば、ここは教室で、カリカリとシャーペンを走らせる音だけが響いていた。


……意識がどこかに飛んじゃってた…。


目を見張るあたしに、和久井くんはシャーペンを振りながらニコリと笑って首を傾けていた。

隣の子が手を止めてぼんやりしていたら、気になるのは当然だよね……。



「集中出来ないのはそれのせい?」



シャーペンで示さたのは、あたしの右手。



「それってさ、律とおそろだよな」


「……!」



ペアリングを指摘されて、全身から火が出そうになるのは時間の問題。

隠すように、咄嗟に右手の上に左手を重ねた。


男の子なのになんて着眼点!!

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