いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



熱が、一気に冷めていく。


あの電話、サッカー部からだったんだよね……?



「あ……あたしの勘違いかも。学校に行くって言ってたわけじゃないし……」


「お、おう……」



多めの瞬きで返す和久井くんの戸惑いが、余計にあたしを不安にさせた。


サッカー部っていうから、学校へ向かったと思ってただけで。

べつの所だったかもしれないし、ええと……ほら……

……どこ……?


考えようとしてもやっぱり思いつかなくて、今まで感じたことのない焦燥感があたしを襲う。



『嘘くさい、騙されてる』


こんなときに黒崎くんの言葉を思い出して体がブルッと震えた。



リングをはめた右手をギュッと握って、教卓の後ろに座る白いシャツの背中を見つめた。


律くん。

なにかあたしにウソついてる……?


そんなことないって思いたいけど。


だったらあの日、律くんはどこへ行っていたの……?


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