いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「今日は隣のクラスの先生が都合で休みなもんでな、いつもと体制がちがうが、気にせずにやってくれ」


「……はい」



そういうことか。

柏木と2時間授業を共にするとはな。


こんなイレギュラーを不運と感じているのは、俺か、それとも柏木か……。


チラリと視線を落とせば、おどおどしながら俺に目をやると柏木と目が合い……すぐに逸らされた。


派手で自己アピールできるヤツが生き残れるような校内派閥の中で、いつの時代かよってくらい控えめで大人しくて地味な柏木。


それなのに校内でも目立つ白鳥と付き合ってんだから、世の中何があるか分からない。


世の中何があるか分からないといえば、俺が柏木にキスするなんてそれ以上に予測していなかったことだ。


……べつに、悪いとは思ってない。

悪いのは…………あいつだ。

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