いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
顔を合わせるたびに『早く大人になれ』と父さんは言った。
どんなに頑張ったって、法で定めるところの"大人"にはなれない。
例え飛び級で大学を卒業できたとしても医者になれるわけじゃない。
兄さんという壁はものすごく高くて……高くて……。
兄さんを追い越すどころか、追いつくことさえもできないんじゃないかって不安に押しつぶされそうになる毎日。
見えないゴールに向かって頑張り続けるのは死にそうなほど苦痛だ。
でも頑張ることをやめたら、俺はきっと父さんに嫌われてしまうだろう。
SOSを出したら気にかけてくれるだろうかと芽生えた小さな抵抗ですら、組織ぐるみで揉み消される。
もう疲れた……けど、また影に戻って暮らすのかと考えればそれも苦痛……。
続けることもやめることも苦痛な毎日で、心は擦れてボロボロだった。