いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
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1コマ目が終わり、10分の休憩に入った。
「随分簡単な問題解いてんだな」
「……!?」
テキストを覗き込んだ俺を、ぎょっとした瞳で凝視する柏木。
警戒されるのは想定内。
学校でも、戦々恐々と俺の隣にいるのは気配で伝わってくる。
あんな風に唇を奪ったんだ。当然か……。
早く俺との会話から逃れたいと思っているであろう彼女に、ひとつ爆弾を落としてみる。
「なあ、聞いてたんだろ?」
「……なに、を……?」
「ごまかしたってムダ」
「……」
「俺が最下位ってこと」
職員室で担任に愚痴られてる最中、目線の先に柏木の後ろ姿があることに俺は気づいていた。
あの距離にいて聞こえてないわけがない。
担任もハッキリ俺の名前を口にしていた。
「……っ、それは……」