いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



しばらくすると……律くんがグラウンドに姿を現したのが窓から見えた。


普通に部活に出てるじゃん……。


じゃあ図書室ってなに?




そう思いながらも、あたしの足は図書室へ向かっていた。





***




───ガラガラ……

静かに図書室のドアを開けると、本独特の匂いが鼻腔を震わせた。


小さいころから読書が好きで図書館通いをしていたから、この匂いをかぐと不思議と落ち着いた気持ちになる。


建物が独立している明應高校の図書室は、天井が3階部分まで吹き抜けになっていてとても開放的な空間。

でも今日はその落ち着くはずの場所がとても怖い所に思えて。


ここでなにかが分かるの……?

そう思うと、ドクンッドクンッ…と焦りに似た衝動が胸を叩く。



テスト期間中でもないことから人はまばら。

普段は大好きな場所に恐る恐る足を踏み入れ、ゆっくり中を回っていると。




「本当に来たんだな」



すぐ近くからその声は聞こえた。

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