いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。




律くんとは、去年も同じクラスだった。


人を惹きつける力のある律くんは入学当初から目立っていて、いつも周りには人が溢れていた。


キラキラしていて眩しい彼を、目で追ってしまうのは必然。


どうしたら、あんな太陽みたいに笑えるのかな。


律くんと仲良く話している子たちを羨ましく思いつつも、引っ込み思案なあたしは影からそっと見つめるだけ。


あたしなんて、近づけるわけないよね……。

そんなふうに諦めていたある日。



帰るためにグラウンドの脇を歩いていたあたしの足に、サッカーボールが当たった。


ぼうっと歩いていたあたしがいけなかったんだと思う。


それでもなかなかのミドルシュート。

体中が痺れるような痛みに、思わずその場にしゃがみ込むと。



『柏木さん大丈夫!?』



血相を変えて飛んできたのは律くんだった。

< 15 / 389 >

この作品をシェア

pagetop