いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「そんな……」
「ここならいいだろ。待ってる間好きな本読み放題だぜ?」
「……」
こんな状態で本なんか読めるわけないじゃん。
むしろ、トラウマで本が嫌いになっちゃうよ……。
再び体を倒した黒崎くんは、それっきり起き上がることはなかった。
……なによ。
どういうつもり……?
不信感を拭えないまま、とりあえずそこから遠い席に、本を1冊選んで座る。
到底文章なんて頭に入ってこない。
ここはグラウンドから少し離れているから、教室で待っている時のように賑やかな声は届かない。
本を読むには絶好の静けさも、ただ焦りを募らせるだけ。
カチ、カチ、カチ……。
壁に掛けられた時計の秒針が、確実に時を刻んでいると教えあたしの緊張を煽る。
早く部活が終わって欲しい気持ちと終わって欲しくない気持ち。
結局本なんて読めず、時計ばかりを眺めて過ごしていると。
キーンコーンカーンコーン……
やがて6時を告げるチャイムが校内に鳴り響く。
……部活が終わった。